パウラ・モーダーゾーン=ベッカー展 
2006/03/24 Fri. 15:12 [edit]

葉山町に、「神奈川県立近代美術館」がこれほど立派な施設であり、これほどの環境にあることも、時代に先駆けた女性画家と形容されているこの画家のことも、これまで全く知りませんでした。
31歳で初めての我が子を倦んで、その3週間後には亡くなってしまったということなので、作品の数は決して多くはありません。絵も、完成されたものというより、発展途上だったように思います。
したがって、完成された作品が多数展示された展覧会の充実感はありませんが、多くの習作と彼女の多様な表現方法の試行(なのかな?)を見ることができたという意味で、随分参考になったように思います。
特に、油彩でも水彩でもなく「厚紙」と書かれた、主として油性テンペラ画や(しかもその引っ掻き表現など)、新聞紙に書かれた習作など、意外性に富んだ絵を数多く見ることができたのは収穫でした。
私がこの画家の絵を評価するとすれば、やはりその代表作となっている「
琥珀の首飾りの自画像」が第一ですが、老女を描いた2枚のデッサンもなかなかだったと思います。
本音を言えば、全体的に色が暗いなぁと思っていたのですが、ミュージアムショップで見た冊子の色は随分明るいのです。恐らく当初はこちらの色に近かったのはないかと思うのです。そんなこともあって、もう一度その色を見てみようと「1行箋」を記念に買って帰りました。
周辺も散策しようと、車で出かけたのですが、早めに帰らなければならなかったため、周囲で絵にしたくなるような場所を見つけることができませんでした。残念。
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コメント
奇遇ですね
私も一度パウラ・モーダーゾーン=ベッカー展を見たことがあります。場所はドイツ・ケルン市だったと思います。大聖堂を見にフラッと車で出かけた時、駅前でポスターを見てそのまま入館した記憶があります。Beckerという苗字はドイツ人によくある名で、同僚もたまたま同名。そんなこともあって話の種に見る気になった次第。のび太さんの言われるように色調は明るいものではありませんでしたが、女性らしい細やかな線による描写は今でも印象に残っています。
はる #- | URL
2006/03/24 21:30 | edit
>はるさん こんばんは!
そう言えば、はるさんはドイツにお住まいの時期があったんでしたね。
私には、彼女の色彩がどうしてこんなに暗いのか気になっていました。引っ掻き表現などしているのですが、それが決して居着く椎とは言えなかったからです。だから、恐らくもともとは印刷物にあるようにもっと明るい色だったんだろうと思ったのです。
#老婦人のデッサンなどうまいのに、習作はどうしてあんなんだろうということにもギャップを感じましたが…。
のび太 #- | URL
2006/03/24 21:50 | edit
展示者の姿勢としてありのままを見て貰おうという気持ちがドイツの美術館には強くあるように思います。成果だけを展示するのではなくプロセスを見て欲しい、という事なのでしょうね。そう言う意味で展示方針がかなり「教育的」ですね。(笑)
はる #- | URL
2006/03/24 22:04 | edit
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